25才建築学生のだらしない日常

25才建築学生のだらしない日常

色々あって大学変えたりして7年間も大学生をやっている建築学生の思ったこと

四月は君の嘘

四月は君の嘘」のアニメを一気見した。全22話だから、7時間20分。数値を書いてみると、案外大したことない時間だ。

 

内容は、かつて天才ピアニストのピアノが弾けなくなってしまった少年と病弱なバイオリニストの少女が、一緒に成長していくストーリーだ。

 

たくさんのありきたりが詰まっていた。主人公の有馬公正は3月のライオンの主人公と佇まいから心情まで似ているし、主人公とヒロインの関係性は君の膵臓を食べたいと一緒で最後までカップルにならなかった。幼馴染の椿が今更公正のことを好きだと気付くし、モテ役の渡は器用すぎて報われない。

 

この物語では、天真爛漫な宮園かをりが最後逝ってしまったりするけれど、でも結局主眼は心の不安定な中学生の登場人物達がたくさんの障壁を乗り越えていくところにあった。

 

公正は宮園かをりと出会ったことでピアノを弾けるようになった。たくさんの悲しみを乗り越えて、過去を振り返るのではなく前を向いて歩くことが故人達と共に生きることだと気付いた。

宮園かをりは有馬公正と一緒に弾く夢を叶えることが出来た。みんなの記憶に残ることが出来た。有馬公正の記憶に残ることが出来た。椿は公正に想いを伝えることが出来た。井川絵美は有馬公正と出会いピアニストとしての道をまた一歩進んだ。相座武士はヒーローという蜃気楼を追い越した。相座凪は大切な人の背中を押せたし、自分を認めることが出来た。

 

そう考えると渡だけがなんだかんだ一歩前に進めていない。最後、圭子ちゃんにも振られていたし、宮園かをりが公正のことを好きなことにも気付いていた。

 

この物語で、渡はかなりのキーパーソンだと思っていて、視聴者とほかの登場人物達の目線を合わせてくれる大事な役割を担っていた。

 

公正や宮園かをりが演奏して、専門家達はその凄さをしっかりと言葉にして表現していた。悲しさだったら嬉しさだったり誰かへの想いだったり。ただ渡だけは、なんだかわかんねえけどすげえのはわかるというスタンスだった。渡がいたから物語を違和感なく見続けることが出来た。物語の中でも、いろんな橋渡しをしていた渡。器用でとても不器用だ。

 

もう少し井川絵美や相座武士と競い合って成長していく姿を見たかったけれど、あえてたくさんは書かなかったのは、描きたかったのはあくまでも登場人物の心情の機微だったのだろうなあっと思った。絶妙なバランス感覚のカラフルな物語だった。